数列の和の算数

この記事は 明日話したくなる数学豆知識アドベントカレンダー の 12日目の記事です。(11日目:ラングレーの問題とフランクリンの凧 )

tsujimotter氏の昨日の記事は初等幾何学の問題についてであった.原理的には中学生,もっと言うとできのいい小学生にも解けるような問題である.今では難しい大学数学の本を読むようになった私であるが,この問題はさっぱりわからなかった.数学ができるからと言って算数ができるわけではなく,またその逆も然りである.結局私は答えを調べて見たが,「こんな補助線どうやったら思いつくのか!」と中学生以来久しぶりに思ったのである.

このように,解答を見て「なんじゃこれは!?」と思うのは算数で特に多かったような気がする.数学でも驚くような解答というのはあるが,何か論理的な背景があることを考えると,「なるほどそういうアプローチか」と納得できるものがほとんどである.一方算数のエレガントな解答は唐突でいったいなぜそういう発想に至ったのか全く理解できないものが多いように思う.今回はその一つとして教科書には載っていない数列の和の驚くべき解を紹介しよう(知っている人にはタネの分かった手品を見ているような気分になるであろうが…).

まず,「 1+2+3+\cdots + 100を計算せよ」という問題である.この問題を幼いガウスが以下のように計算したのは有名である:

 \begin{array}{rcrcrcccrl} 1&+&2&+&3&+&\cdots&+&100& \\ 100&+&99&+&98&+&\cdots&+&1& \\ \hline \\ 101&+&101&+&101&+&\cdots&+&101&=101 \times 100 = 10100 \end{array}
 \therefore 1+2+3+\cdots + 100=10100/2=5050

実際 1から Nまでの和を暗算するときに,公式 N(N+1)/2を用いるよりもこの作戦で毎回計算する人もかなりいるのではないだろうか?

では,「 1^2+2^2+3^2+\cdots + 100^2を計算せよ」という問題についてはどうだろうか?こうなると途端に公式 N(N+1)(2N+1)/6を使う人が増えるであろう.ところが,この問題には次のような解き方が存在するのである:

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まあ誰がこんなことを思いついたのであろうか.私はこの解を大上丈彦著「数学のできる人できない人」で見て以来他の本では見たことがなかったのであるが,インターネットで調べて見るとある程度知られた解き方であるようだ.相変わらずインターネットは「自分だけが知っている」感を削ぎ落としてくれる.