片側だけでは都合が悪い

関数を扱う上で連続性があるのとないのとでは扱いやすさがだいぶ異なる.関数は制限がなければいくらでも変なものが考えられるが,連続性という条件が付いているだけでヤバい関数を大幅に締め出すことができてうれしいのである.とはいえ,連続だがいたる所微分不可能な関数というのもあり,連続性がついていてもまだ変な関数はいくらでも考えられる.

連続関数には局所可積分という性質がある.1変数関数 f(x)が局所可積分であるとは, f(x)の定義域に含まれる任意の閉区間 [ a,b ] において積分 \int_a^b f(x) dxが値を持つことをいう.閉区間のどこかで連続関数は最大値,最小値をとるので積分が有限の値になるのは容易に想像できるだろう.

だが少し縛りを弱くして片側連続だけにすると局所可積分性は失われる.例えば

 f(x) = \begin{cases} 0 & x \le 0 \\ \frac{1}{x} & x > 0 \end{cases}

は左連続であるが x=0周りで積分すると発散してしまう.局所可積分が欲しければ片側連続とは別で要求するか両側連続にしなくてはならない.